こんにちは!
カウンセリングサービスの青井あずさです。
いつもありがとうございます。
「バチバチにやり合う」っていう言葉が好きです。
「バチバチにやり合う」とはヒップホップという音楽で言うところの
お互いのことを血みどろになるまでディスり合う状態を言います。
もちろん、言葉でです。
ラップを使って韻を踏みながら
お互いの文句を言い合っていくわけです。
ガラが悪い感じがしますよね。
でもね、面白いんですけど、ずっとバトルを見ていくときに
お互いの言い分や文句を言いたいと事の底まで言い尽くしていくと
文句や言い分が昇華されてきて最後にお互いへのリスペクトが残り
がっつり抱き合って試合が終わることがあるのです。
もちろん観客は拍手喝采。
歴代の名勝負の中にはそんな終わり方が多かったりします。
不良同士が河原で殴り合いをして
最後に肩を組み合ってお互いをたたえ合う感じでしょうかね。
お互いを認め合うプロセスががっつり見れるので
ものすごく面白いのです。
いまでこそ、私と夫とは仲の良い夫婦として
周りから認識されているのですが
そうなるまでには私たち夫婦にもプロセスがあったわけです。
それはそれはバチバチにやり合ってきました。
昔住んでいた家の壁には、私のこぶしの形の穴が開いていました。
引っ越す前には知り合いの左官屋さんをよんで
せっせと穴を埋めてもらいました。
穴を埋めてもらう間、とってもバツの悪い思いでした。
トイレのドアは何度も蹴り壊されたので、蝶番が外れてしまって、
鍵がかからない状態でした。
ガラスを素足で蹴って、救急車を呼んだこともありました。
家も関係も全て壊すほどの激しい喧嘩でした。
言葉でも沢山相手を沢山傷つけてきました。
「役立たず。あんたと結婚して不幸になった。」
そんなメッセージを載せて、手を変え品を変え
相手の罪悪感を踏み抜いてきたきたのです。
ものすごい量の自己嫌悪が襲ってきました。
どうしてこんな風に相手を責めて攻撃してしまうんだろう。
どうして私は、こんな風に怒りをぶつけてしまうんだろう。
どうして私はこんなにダメなんだろう。

自分ひとりで抱えきれないほどのさみしさを感じていました。
どうしてもつながりが欲しい。でも自分のやり方も手放せない。
でも、この状態だけが間違っているのだけはわかる。
こんな状態をぶち壊してしまいたい。
こんな袋小路の中に独りぼっちでいたのだと思います。
どうしても相手に自分気持ちをわかって欲しかったのです。
今までずっと気持ちを隠してきたけれども、
どうやらそれは得策ではないみたい。
だって、どんなにそのさみしい気持ちを怒りで隠しても、
分かってもらうどころか、関係は壊れていくばかりだ。
今のやり方ではもう行き詰っている。
そしてある日、夫に私から切り出してみました。
「私の感じている気持ちを、想像してみてほしい」と。
自分の感じている、さみしさと独りぼっちの気持ちと
自己嫌悪の気持ち。たくさんの罪悪感。
それを訥々と話しました。
お願いだから逃げ出さないで、少しでもいいから聞いてほしい。
私が何を感じて、あんな風に激高するのか想像してみてほしい、と。
夫はたいそう嫌がりましたが、喧嘩するよりはと思ったのか黙って聞
いていました。
そして最後、涙を流しながらこういいました。
「もう無理だ。これ以上聞けない。聞いたら仕事に行けなくなる」
言葉としては、否定です。
ですが彼が私の罪悪感を同じように感じようとして結果、
その痛さに涙を流している。
自分の気持ちを理解しようとしてくれている。
私は初めて、夫を信用していいかもしれないと思えました。
初めて頼ってもいいかもしれない、と思えました。
話せばわかってくれると思えたのです。
少しずつではあるけれども、
自分の気持ちを話すということができるようになりました。
自分の気持ちを分かってもらえるという信頼ができたからか。
話し合うという手段が有効だと学んだのだと思います。
あまり私から手が出るということがなくなっていきました。
今ならこんな風に伝えることができるようになりました。
私が寂しさを感じた時は、
私「最近きちんと話ができていないから、話がしたい」
夫「わかった、じゃあ明日の休みは時間をとるよ」
私「じゃあご飯食べに行きたい」
夫「いいよ」
夫が自分の気持ちを分かるために、時間を作ってくれる準備がある。
それだけで、もう気が済んでしまうような安心感を感じられるようになりました。
昔のようにやり合うことはなくなってきました。

最近、夫とヒップホップのバトルをテレビで見る機会があったのですが
「昔の君を見ているようだ」といって驚いていました。
私も同じように感じます。
うわー!すごくわかってほしい気持ちがあるんだろうなぁって。
怒りで喧嘩してしまうカップルは、
お互いを分かり合おうとするプロセスの途中にいるのかもしれません。
喧嘩って、わかって欲しい人としかしないですからね.