こんにちは。カウンセリングサービスの青井あずさです。
私は長い間、自分のおなかのお肉を後ろめたく思っていました。
気持ちよくビールを飲んできた結果です。仕方ない。
でも女性として生きているからには、もう少しどうにかならないかしら、できればビールの量を減らさずに‥という気持ちがずっとありました。
出産を経験して30代になった私は、ますますぽよんとしてきて、そんな自分をなんとなく不甲斐なく感じていたのです。
ところで、私には結婚して12年になる夫がいます。
夫は20代から農業をしており、肉体作業の毎日なので、アスリートと一緒で美しい筋肉を持っています。
なので、夫にはずっとコンプレックスを持っていました。
素晴らしい体の彼。ぽよんとしたお腹の私。
比較してしまい、気が滅入るわけです。
こんな気分にさせる自分のおなかって全然好きじゃない。
大嫌い、見たくないと思っていました。
そして、自分のおなかを自分自身で嫌っている分だけ、夫にも嫌われるに違いないと決めつけていたのです。
だって、あんな筋肉をもった彼が、私のおなかをみたらがっかりして、見下されてしまう、嫌われてしまうと思っていたのです。
彼に似合うのは、もっとナイスバデイの女性なんだろうな。
彼と自分を比べ、架空の女性とも自分を比べ、自己嫌悪の日々。

だから、セックスが嫌でした。
自分の隠したいものを見せなくてはならないから。
そんなことしたら、絶対嫌われると思っていましたから。
そしてロマンスというのは美男美女だけが手に入れられるものという決めつけがあったので、自分には無理だと思い込んでしまったのかもしれません。当時はそんな大きな思い込みを持っていたのです。
だから、私の場合は、夫からセックスのお誘いが来ても断固拒否にな刺激して回避しようとします。
割と無意識に。
自分のおなかを隠すために、彼の加齢臭が嫌だ、汗臭さが嫌だ、など不満を述べるわけです。そして言っているうちに、彼の汗臭さが本当に鼻に付くような気がしたりして。
このように、自分のおなかが最低!と思っていればいるほど、自分の事を嫌えば嫌う分だけ、外に見えるものを攻撃します。自分をダメだと思っていればいるほどに、その攻撃は強まります。そして体外そのターゲットになるのはパートナー。身近な人が多いです。
彼は愛を分かち合いたくて近づいてくるのに、私は自分のコンプレクスを隠すために彼の罪悪感をわざと踏むようなことを言っていたのです。
なんとかわいくない!なんと悪い態度!
そりゃあ喧嘩にもなります。喧嘩も続きます。
でも何の因果か、心理学を勉強し始めた私。
心理学では自分を隠すと問題が起きると言われています。
お腹をかくすから問題が起きる‥
ある時、思い切って彼にこう言ってみました。
「わたし、おなかを見られるのが恥ずかしい」
それを聞いた彼の反応は
「そ、そんなことを気にしていたのか」
彼にとっては、私が隠している「決して見せてはいけないぽよんとしたお腹」がどうで良いことだったみたいでした。
一瞬、「そんなことだと?何年悩んできたと思ってやがる(怒)」
という気持ちがなかったわけではありません。
けれども、私が悩んで隠してきたものが彼にとってはどうでも良いものだったというのは、拍子抜けはするけれども、とてつもない安心感を感じることでした。
思いがけず甲冑を脱がされてしまった!というような感覚です。
そうか、戦争は終わったのか。
それ以来、私のおなかは彼にとってはチャームポイントのような扱いです。
彼が私のおなかをからかうのは、私が恥ずかしがるのが可愛いからだそう。
本人がどんなに劣等感で悩んでいようとも、他人から見ればそれはかわいいものだったり愛すべきポイントだったりするみたいなんです。
「自分の一番の弱点をさらす体験というのは、パートナーシップの最大の醍醐味」
カウンセリングの師匠が言っていた言葉ですが、本当にその通りだと思える経験でした。
私がおなかに投影していたのは、自分の不甲斐なさ、みじめさ。
それを開示し、彼に愛してもらうのはとっても安心できることでした。
自分でどうにかしようと隠すよりもパートナーに愛してもらう。
そうすることで、いつのまにかコンプレックスはコンプレックスではなくなってしまうことがあるのです。
不甲斐なさ、みじめさを感じていた私のおなか、もとい私の体についてですが、それ以来おなかや体形で自分を責めなくてもいいのかな、と思えてきました。
年を経て丸みを帯びる自分の体が、まぁそれもありかなと思えるのは、「痩せてなきゃ生きてる資格なし」と思っていた頃よりはだいぶ生きやすいのです。そんな風に思える世界は自分にも人にも優しい。
自分の隠しているものですから、隠している理由があるわけで、そを開示するにはものすごく勇気がいります。
けれどもこのまま不機嫌になりながら隠し続けるよりは、勇気を出して開示してもいいかもしれません。